TVコップ
TV COP
 題名の“TV”は、言うまでもなく‘transvestite’の略。「コップ」は、「ビバリーヒルズコップ」や「ロボコップ」の「コップ」。つまり「女装警官」のお話です。

 この小説を初めて目にしたのは、じつははるか昔。ネット上にある場所も、いつものFictionManiaではありません。
 FictionManiaができる前からあったNifty Erotic Stories Archive(Niftyといってもプロバイダーのニフティとは無関係。アメリカのゲイ小説のサイトです)で見つけたもの。

 クレジットによれば、書かれたのは1992年。インターネット以前のパソコン通信で流通していた作品のようです。上記ウェブサイトにアップされたタイムスタンプは1996年となっています。
 96年といえば、インターネットが日本でも一般に広がりはじめた年。私もこの年から始めています。ダイアルアップ回線の電話代を気にしながらネットサーフィンして、接続を切ってから読んだ覚えがありますから、たぶん、アップされて間もなくだったんでしょう。

 当時のアメリカ製オンライン女装小説は(今も大半はそうなんですが)、女装という行為を無邪気に(稚拙に?)書いただけのものか、ポルノシーンが延々とつづき、そのつじつま合わせのようにストーリーが添えてあるようなものばかりでした。
 この小説も、まあ、後者の部類ではあるのですが、その中では設定も描写も工夫があってスジが通っているのが目を引きました。警察内部やおとり捜査の描写、隣人やショップ店員とのからみ、猟奇殺人の犯人像など、かなり面白くできています。

 ただ、作者の“スー・ソフトウエア”さんというのは一人ではなく、複数で共作したペンネームのよう。たぶん、パソコン通信のBBS上で、何人かが書き継いだり修正したりしてできあがったのではないかと思います。そのせいで、セックス描写に熱がこもっているわりに、つじつまが合っていない部分があったりします。そのあたりは、今回、私の責任で、全体に矛盾が生じないよう最小限の改変を加えてあります。ご承知おきください。

 いずれにせよ、ご期待どおりの濡れ場が満載。実際、「パンティが濡れる」描写がやたらと出てきます。
 そんなシーンでは思いっきり「沸騰」しちゃうという意味で、ハードボイルドな女装ミステリー。お楽しみください。
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