再掲載にあたって

この小論は、1996年、私がこのサイトを立ち上げるにあたり書いたものです。
それからすでに15年近い歳月がたち、内容に陳腐化している部分も目立ちます。

特に、“3.女装の「現状」”については、状況が全く変わっています。たとえば、「日本では女装関係のホームページはほとんどない」「日本でさかんなのは、閉じたネットワークであるパソコン通信」というような記述がありますが、これは完全に1996年当時の状況です。ご存じのように、現在では、ネットの女装系サイトは花盛り。女装趣味の人たちは、当時よりずっと堂々と「表」に出てきています。私自身、おそるおそる「女装小説」のページを立ち上げた当時を思うと、隔世の感があります。(ちなみにこの3章は、当時の状況を列挙してあるだけなので、とばして読んでいただいても、本筋の理解に支障はありません。)

それ以外の章でも、社会の変化や学術的な研究の進展により、現在では多少認識がずれているところや、用語の選択が時代遅れなところもあります。

そういう意味では改訂すべきだなのでしょうが、その時間もなく、また一方で、「女装」に関する分析や論理など、大筋では、現在でも充分に通じる内容だと思いますので、誤字など2・3カ所直しただけで当時のまま掲載しています。

そのあたりをお含みおきの上、お読みください。

 
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※注1
私がこの小論を書いてからしばらくして、埼玉医大の性転換手術などの報道もあり、世の中に「性同一性障害」という言葉が一般化しました。これは、主にTSと重なる概念だと言っていいと思います。そういう人たちが世の中にいるのだということを、一般の人たちに知らしめるという意味では有効な概念だと思うのですが、ただ、それを、「障害」(≒「病気」)と定義して、一般人とはちがうのだと線引きしてしまうことに、私は少なからず抵抗があります。
 
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※注2
そういう意味では、われわれ東洋人は、昔から西洋人にくらべて、より正しい認識をしてきたと言えるかも知れません。英語の sex は、sect や section と語源的には同じで、「分ける」「分かれる」という意味から派生した言葉です。つまり、男女の別を分けるということです。それに対し、日本語(もともとは中国語)の「性」は、元来、「性質」とか「性向」とかいう意味でしょう。文字どおり「傾向」を表すわけで、そこには「分ける」「分かれる」という意図は希薄です。
 
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※注3
「人類文化の戦略」とか「人類文化の恣意性」とかいう表現に、「神の意志のようなものを想定しているのか?」というご質問がありました。もちろん、それらは比喩的な表現です。人類の文化そのものが(集団無意識的なものであれ)意志や意識を持っているとは思いませんし、そこに「見えざる手」のようなものが働いているとも思っていません。人類文化が、男女を区別し、人々にジェンダーを押しつけてくることになってしまったのは、ダーウィンの「自然淘汰説」的な作用が働いた結果だと思います。たまたまそういう「ジェンダー幻想」を持った種族だけが(ボロボロの本能を補完することに成功し)生き延び、そういう幻想を持たなかった種族は(欠陥品の本能のせいで、まともな生殖ができず)滅んでしまった。その結果、生き残った種族の文化が人類全体の支配的な文化になった、ということです。しかし、そこで大事なのは、それは、「妊娠」とか「出産」とかに対して人為的な操作がまったくできない時代に起こったことに過ぎないということです。「人工授精」をはじめ、不妊医療がふつうに行われ、遺伝子医療、さらにはヒトクローンまでもが俎上に上っている現代、たとえ、そういう幻想をすべて捨て去ってしまったとしても(あとで述べるように、それはたぶん無理でしょうが)、そのことで、人類が滅びることはないでしょう。
 
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※注4
ある方から「そういう無責任なことを言っているから、男と女が結婚しなければいけないという意識が薄れ、子供の数がますます減り、高齢化社会になるのだ」というご批判をいただきました。しかし、そうした「少子化現象」というのは、日本という国家、あるいはせいぜい先進数カ国という枠内で見た時の問題であって、地球全体から見れば、どんどん加速度を増しながら「人口爆発」がつづいているわけです。それは、「人道主義」の名の下に、じつは未開拓のマーケットに期待して、(教育などを含めた全体的な民度の向上など考えもせず)「経済援助」や「医療援助」をしている先進諸国の身勝手さに起因していることではあるわけですが、いずれにしても人類全体で解決しなければいけない課題は「少子化対策」などではなく「人口抑制」です。そうした意味からも、人類を「性の奴隷」からスポイルすることは、けっして悪いことではないと思います。
 
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※注1a
現在、医学用語としては「性分化疾患」と分類され、俗称としては「インターセックス=IS」とも呼ばれるこうした方々が、実際にどのくらいいるのか、正式な統計はありません。程度や形態がさまざまで診断(線引き)が難しいのと、(現実には「男性」「女性」として暮らしている方々の)プライバシー保護という立場から、「わからない」というのが公式見解のよう。ただ、非公式には、その発現率が2000人に1人とも4500人に1人ともいわれます。ちなみに、やはり偶発的な染色体異常による障害、ダウン症の発現率が2000人に1人くらいですから、ダウン症の方を見かける程度には、ISの方がいると考えていいのでしょう。
 
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